【皮膚病理組織】
血栓症、皮膚潰瘍を起こす疾患が鑑別になる。
結節性多発動脈炎 | 真皮と皮下組織の境界部にフィブリノイド変性を伴う血管炎を認める。 |
抗リン脂質抗体症候群 |
網状皮斑、皮膚潰瘍で血管炎を認めないのはlivedoid vasculopathyと共通した所見。 抗リン脂質抗体を認め、臨床的に皮膚症状のみで病理組織がlivedoid vasculopathyに合致する場合はlivedoid vasculopathyとして報告されている場合がある。 |
うっ滞性皮膚炎 |
長時間の静脈うっ滞後に生じ、色素沈着、硬結、時に潰瘍を伴う |
プロテインC欠乏 プロテインS欠乏 |
静脈血栓症を生じる。 |
クリオグロブリン血症 クリオフィブリノーゲン血症 |
循環障害を生じ、紫斑、網状皮斑、水泡、潰瘍、壊死を生じる。 血管内に好酸性無構造物質がみられる。 Ⅰ型クリオグロブリン血症は血栓のみ。Ⅱ、Ⅲ型では血管炎を伴う。 |
ホモシスチン血症 |
加齢、男性、ビタミンB6/ビタミンB12/葉酸の不足、腎機能低下、喫煙、cystathione β synthase(ホモシステイン代謝酵素)欠損、methylene tetrahydrofolate reductase(MTHFR)遺伝子多型(C677T)で高値になる。 動脈硬化や血栓形成を引き起こす。 |
factorⅤleiden遺伝子変異 プロトロンビン遺伝子変異 |
factor Ⅴ leiden遺伝子変異やプロトロンビン遺伝子変異(G20210A)は静脈血栓の原因になる。 欧米人のみに認めアジア人には認めない。(医学のあゆみ2016;257:759) |
壊疽性膿皮症 |
膿疱、水疱から潰瘍を生じる。網状皮斑や紫斑は認めない。 潰瘍性大腸炎、クローン病、リウマチ、骨髄腫、白血病に伴うことがある。 |
感染性皮膚潰瘍 |
潰瘍に二次的に感染する場合もある。 |
膠原病 |
SLE、シェーグレン症候群、リウマチ性血管炎などで皮膚潰瘍を伴うことがある。 |
PAI-1プロモーター4G/4G genotype |
plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)は線溶系の主要な阻害因子である。 PAI-1遺伝子4G/4Gホモ接合体はPAI-1活性が高い。 PAIプロモーター4G/4Gホモ接合を認めたlivedoid vasculopathyの報告がある。(Arch Dermatol.2006;142:1466) |
薬剤性 |
ワルファリン誘発性皮膚壊死、ヒドロキシカルバミドは潰瘍を起こすことがある。 |
抗凝固薬 |
ワーファリン(Arch Dermatol,2006;142:75, J Am Acad Dermatol,2008; 58:512) リバロキサバン(Br J Dermatol,2013;168:898) |
抗血小板薬 |
アスピリン(Int J Dermatol1999;38:161,Int Wound J.2012;9:344) ジピリダモール( Changgeng yi xue za zhi,1991;14:237) |
血栓溶解薬 | 組織プラスミノーゲン活性化因子(Mayo Clin Proc.1992;67:923) |
血管拡張薬 | ニフェジピン(J Am Acad Dermatol. 1986 ;14:851) |
その他
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ニコチンパッチ(西日本皮膚科2006;68:491) PUVA療法(Int J Dermatol2001;40:153) 大量γグロブリン療法(J Am Acad Dermatol 2004;51:574)、 ドキシサイクリン( J Clin Aesthet Dermatol, 2008; 1: 22)、 蛋白同化ステロイド(ダナゾール)( Br J Dermatol, 1998; 139: 935) |
再発性、難治性の臨床経過をたどることが多い。
生命予後はよいが、罹病期間が長く、歩行困難、疼痛もあるためQOLを損ないやすい。
潰瘍が残存する場合はデブリドマン、植皮術、局所皮弁術も考慮される。
創部の細菌感染治療は潰瘍改善には重要。