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血漿中の主な浸透圧物質(分子数の多いもの)は電解質でNa(140mEq/l)、K(5mEq/l)、Cl(100mEq/l)などの電解質であるが、陽イオンはほとんどがNaでそれに見合う陰イオンがあると考えられる。2×Naが電解質による浸透圧を近似。
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次に多いブドウ糖分子は分子量が180なのでmg/dlをmmol/lに換算するとブドウ糖濃度(mg/dl)/18が浸透圧。
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さらにBUNも同様に計算するとBUN(mg/dl)/2.8が浸透圧になる。
以上より血漿浸透圧の推測式は
血漿浸透圧=2×Na+血糖値/18+BUN/2.8
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実測の血漿浸透圧はNa、血糖、BUN以外の浸透圧物質が含まれるときに上昇することがある。(浸透圧ギャップ)
《浸透圧ギャップを生じる物質》
[ADH(pg/ml)]=0.38×(血漿浸透圧-280)
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ADH分泌予測値(実際に分泌されていると推測される値)≒実測値
[ADH(pg/ml)]=1.7×(尿浸透圧/血漿浸透圧)
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”ADH分泌期待値”と”ADH分泌予測値”が異なるのは、血漿浸透圧以外のADH分泌刺激が存在しているからである。(参照:低ナトリウム血症)
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血漿浸透圧以外で最も重要な刺激となるのは血液量の減少であり,これは左心房,肺静脈,頸静脈洞,および大動脈弓の圧受容体によって感知されてから迷走神経と舌咽神経を介して中枢神経系に伝達される。
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その他にADH分泌刺激となるのは疼痛,ストレス,嘔吐,低酸素症,運動,低血糖,コリン作動性物質,β遮断薬,アンジオテンシン,およびプロスタグランジンがある。
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逆にADH放出抑制物質には,アルコール,α遮断薬,およびグルココルチコイドがある。