悪性関節リウマチ

  • 1954年Bevansらは関節リウマチに心膜炎、胸膜炎を合併して死亡した2症例を悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis:MRA)として報告した。剖検では他臓器にも小血管のフィブリノイド壊死を伴う血管炎所見を認めた。
  • 現在では、臨床の現場でMRAの名称が使われることは少なくなり、難病認定の場面でのみ登場する。
  • 内臓を侵す全身動脈炎型(Bevans型)、四肢末端と皮膚を侵す末梢動脈炎型(Bywaters型)、血管炎は伴わず主に肺を侵す肺臓炎型にわけられるが、診断基準に合致するかで診断を行う。
  病型 病理学的特徴 臨床的特徴 生命予後
 血管炎型 全身性動脈炎型 内臓を系統的に侵す

腹膜炎、心外膜炎、

間質性肺炎、心筋炎

不良
末梢動脈炎型

四肢末端および

皮膚を侵す

多発性単神経炎、上強膜炎、

皮膚潰瘍、四肢壊疽、

皮下結節、紫斑

良好
非血管炎型

間質性肺炎

/肺線維症

血管炎所見なし。

間質性肺障害

間質性肺炎、肺線維症

不良

悪性関節リウマチの診断基準

診断と難病認定の詳細は、難病情報センター”46 悪性関節リウマチ”参照

A.臨床症状、検査所見
  1. 多発性単神経炎
  2. 皮膚潰瘍または梗塞,または指趾壊疽
  3. 皮下結節
  4. 上強膜炎または虹彩炎
  5. 滲出性胸膜炎または心嚢炎
  6. 心筋炎
  7. 間質性肺炎または肺線維症
  8. 臓器梗塞:血管炎による虚血,壊死に起因した腸管,心筋,肺などの梗塞
  9. リウマトイド因子高値:2回以上の検査でRAHAまたはRAPAテスト2560倍以上,またはRF定量テストで960IU/ml以上
  10. 血清低補体価,または血中免疫複合体陽性:2回以上の検査で,C3、C4またはCH50の低下をみること.または2回以上の検査で,血中免疫複合体陽性(Clq結合能を基準とする)をみること.
 

B.組織所見

 

皮膚,筋,神経,その他の臓器の生検により,小ないし中動脈に壊死性血管炎,肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること。

《判定》

RAの診断が確実で(現時点では2010年のアメリカリウマチ学会・ヨーロッパリウマチ学会分類基準を満たすこと)以下のいずれかの条件に合致する場合を悪性関節リウマチと診断する。

(1)Aの3項目以上を満たす場合

(2)Aの1項目とBの組織所見が陽性の場合

悪性関節リウマチの治療

  • 治療はステロイドや免疫抑制剤が中心になり、入院治療が必要になります。
  • 多くの場合プレドニゾロンで0.5~1mg/kg/日の中等量~大量ステロイドが必要です。
  • 免疫抑制剤はエンドキサン®、イムラン®などが併用されます。
  • 治療は時間もかかり、難渋することがしばしばです。根気よく治療を継続することが大事です。